★原発・放射線の基礎知識と問題・防災という側面から★



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★原子力発電所の主なタイプ★

原発=原子力発電所にはまず大きく分けて3つのタイプがあります。ヽ(’’)
1.軽水炉:最も一般的なタイプ。核燃料の冷却水に軽水(真水)1H2 16Oを使うので軽水炉と呼ぶ。
2.重水炉:余り無い。燃料の冷却に1H2 16Oではなく、2H2 17Oや3H2 18Oなど水素・酸素の放射性同位体でより重い元素からなる”重水”を使う。ウラン濃縮技術が未熟だった初期の原発に使われていた。また、重水は核融合を起こし、水爆や核融合炉の燃料となる。海水中にごく微量含まれる。
3.核融合炉:先ほどの重水の原子を融合させた時に出る膨大なエネルギーで水を沸騰させ、発電するもの。まだ世界中でどこも技術的に成功していない。小泉内閣時代に「誘致してくれた県には多額の補助金を約束する」と云われて、真っ先に”県民の命より補助金”の茨城県知事・橋本昌が誘致を表明したが、建設途中で”原発先進国・フランス”と共同研究になり、核融合実験炉はフランスに建設された。既に2010年から施設が完成し日仏の研究者がフランスで共同研究をしている。

何故、冷却に水が使われるかというと、水素原子が核物質から出る中性子を吸収する性質があるためですが(つまり核反応の熱を冷却するだけではなく、核分裂を抑える働きもする)、普通の真水(軽水)はこの吸収力が強く、人工的に濃縮されたウランを燃料にしないと中性子が吸収されすぎて安定的に連続した核分裂が起こらない=発電できるほどの熱量にならないという”欠点”があります。
重水炉はこの「核燃料濃縮」技術が無かった初期の原発で使われていたもので、普通の水に比べて分子が重く、中性子の吸収性は悪かったので、天然のウランでも発電できる熱量がだせましたが、重水自体が猛毒で、魚類は全て重水中では死亡、人間も体重の数10%を飲むと体調が悪化します。また、自然界では海水から採取出来ますが、何万分の1%という程度しかなく膨大な海水を汲み上げなければなりません。

・一般的な軽水炉もタイプは色々(下記の各原発の画像は電気事業連合会のHPに掲載されていたものを転載)
・黒鉛減速軽水冷却沸騰水型炉 PBMK
チェルノブイリなどかなり古い型の軽水炉で、特徴としては「核燃料の圧力容器が無い」ことが上げられます。今時この形式は”論外”ですね(^^;


・沸騰水型軽水炉 BWR
日本のほとんどの原発で使われている型。特徴は核燃料と燃料制御棒がステンレス製の圧力格納容器に入っていること。核燃料で熱くなりできた水蒸気で直接発電用のタービンを回すこと。この核物質を含む水蒸気から変ったお湯を、外部からの水(大体、海水)をパイプでタービン容器に送ってラジエーターのようなもので冷却し、再び海へ戻すこと。
事故等が無ければ直接放射性物質を含んだ水と冷却用の水が混じることは無いので、安全と思われていましたが、大きな欠点は地震国である日本の場合、この冷却用の海水を取り込んでいるパイプが地震の揺れで破損(特にタービン容器内で)すると、ストレートに放射性物質を含んだ水が自然の海に流れ出してしまうことです。今できる対策としてはこれらのパイプ類を全てジャバラ状のフレキシブル・パイプに代えて、地震の揺れが加わっても自在に曲がって破損しないようにすることでしょう!PS。今回の東日本大震災では地震加速度がおよそ2900galでしたが、福島第一原発は原子力保安院の900gal以上という基準よりはるかに高い7000galという耐震設計だったので、地震では原発は破損していません。主な原因は津波によるポンプの破損でした。

燃料棒に入っているウランを固めた燃料ペレット1個で1家庭(300KW/月)の8ヶ月分の電力を発電できる。
・改良型沸騰水型軽水炉 ABWR
国内で4基だけ使われている日本で改良された沸騰水型炉。これまでの沸騰水型炉は核分裂を制御する制御棒を動かすのに、建屋の外部からのパイプで供給される水圧だけで行なわれていた(信じられないことに!フェイルセーフという当たり前の設計思想が無い!福島もこの形式)ので、水を送り込むポンプがイカれると制御棒の数を増やして核分裂を抑えることができなかった。そこで、水圧だけの1系統だけではなく、電気モーターでも制御棒を入れられるようにした改良型。

パイプ類も旧型はゴチャゴチャしているのに比べて、すっきりと纏められています。
・加圧水型軽水炉 PWR
主に米国などで主流となっている原発。沸騰水型が核燃料で沸騰した水でそのまま発電用タービンを回すのに対して、加圧水型は核燃料で沸騰した水で、別系統の加圧した水の通ったパイプを暖め、タービン容器で減圧(高い圧力のかかった温水を広い容器内に送ると急激に減圧されて、沸騰する)しつつ発電。その発電タービンを回すために使った水を更に、別系統で引き込んだ海水で冷却するという”2段構え”で海への放射性物質漏れを防ぐ構造になっている。いずれにしても地震の揺れなどでパイプが破損すれば、終わりなのは沸騰水型と同じだが、そうした事態が無い場合には海を放射性物質で汚染しないという点で優れている。

燃料ペレット1つで1家庭(300Kw/月)6ヶ月分と冷却水の系統が3重になっている分効率が悪いが、核汚染の可能性がやや低いという点では、日本のものより進んでいて、何で震災前に民主党が『日本の原発を米国に輸出しよう!』などと言い出したのか、さっぱり分からない。(@_@)多分、例によってど素人の集団だったので簡単に経済産業省のイカレた役人に騙されたのでしょう!

★原子力発電の原理★

原子力発電とは、そもそもどういう発電方法なのか?というと、簡単に言えばボイラーで火を焚いてその熱で高温・高圧の水蒸気を発生させて、その水蒸気をタービン(風車のようなもの)に当てて回し、その回転力で発電機(モーターとほぼ同じもの・交流の発電機は軸側に永久磁石、外側に電磁石、直流は逆)を回して、発電するのが火力発電所です。
その火力発電の熱源を石炭や石油・天然ガスなどを燃やした熱ではなく、ウランなどの放射性物質が核分裂をする時に出す熱にしたものです。
同じように思えますが、火力発電は燃料の酸化熱(炭素C+酸素O2=CO2に化合する時の化学熱)、原子力発電は燃料の質量が失われる時の熱(ウランU→プルトニウムPuに分裂する時に失われた質量がエネルギーに変った熱・物理熱)が使われるという点で科学的にはまったく別のエネルギーです。
具体的にはどのように分裂して「熱」を発生させるのでしょう?やはり電気事業連合会の資料(コピーできなかったのでフラッシュ動画を携帯で撮影した)で見て見ましょう。
(原子炉内での連鎖反応)
ウラン238と235の混ざった核燃料ペレットに、他のペレットまたはペレット内のウランから飛び出した中性子が他のウラン238、235にぶつかります。
ぶつけられたウラン分子は元々重すぎて不安定な物質です。特にウラン235は不安定なので、原子の真ん中にある核がその衝撃で(絵では2つですが)いくつかの元素(プルトニウム、放射性ヨウ素、セシウム137・135、放射性ストロンチウム90など)に分裂しつつ放射線を出し、また中性子も出します。この分裂してできた元素全部の重さを足しても、元のウラン原子の重さより少なくなっています。これが「物質の質量が熱エネルギーに変った瞬間」なのです。ウラン238は図では崩壊しないように描かれていますが、中性子がぶつかると、自然状態では連鎖的に核分裂しないウラン238にこの中性子が吸収されて、プルトニウム239に変ります。このプルトニウム239はウラン238よりも不安定な物質なので、再び中性子を放出して(当然放射線も出して)連続的に核分裂を繰り返します。つまり原発があるというだけで、必然的にプルトニウム239が出来てしまうのです。(^^;
これを理論的に説明したのが、アルベルト・アインシュタイン博士の、かの有名な「特殊相対性理論」の公式E(エネルギー)=M(重さ)×C2です。つまり、ウラン元素より分裂後の物質の全部の重さが少なくなっている差の分が熱エネルギー(実際は熱だけではなく、放射線も含めた電磁波も出るためその分のエネルギー分も減っている)に変るのです。
さて、中性子の当たったウランからは、他のより軽い放射性物質に分裂する時に、中性子を放出します。これは、なぜかというと、ウランの原子核が持っている中性子の量よりも分裂後の放射性物質の原子核で必要な中性子の方が少ないからです。余った中性子は、次々と他のウラン分子に衝突していきます。これが連続的な核分裂=臨界です。

原子爆弾の場合は兵器として人を殺すために使うので、爆薬を使って強引に圧縮し、一気に核分裂させて、高い熱と光、放射線を出させておけばいいのですが、発電所の熱源として使う場合には、この”飛び出す中性子の分量を調節してゆっくりと、長時間核分裂が続くようにしなくてはなりません”
なぜかというと、原子爆弾は爆発する時(これも臨界状態)に6000度もの高熱を一気に出します。発電所の熱源としてはこれほどの高熱はいりません。また、一気にウラン燃料を分裂させたら燃料代が高く付くということもあります。 そこで、核分裂のスピードを爆弾のように一気にするのではなく速度をゆっくりにして、少ない燃料でより長く使えるようにする必要があります。これを「減速材」と言います。
減速材はウランが分裂した時に出る中性子を吸い取る性質のある物質です。他のウランに衝突する中性子の数が減れば、核分裂はゆっくり進んでいく→熱と燃料の無駄が無くなり、安全性も増す。ということになる訳です。ヽ(’’)
最も良く知られている「減速材」はとてもありふれた物質である。水と炭(炭素)・炭化ホウ素、カドミウム合金、インジウム、銀、ハフニウムなどです。特に水(水の中の水素)は1.大変に中性子を吸い取る性質が強く(自然のウランでは発熱しないくらい強い)2.放射線を水から外には放射しない。(水自体は汚染される)3.核燃料の熱を冷やせる。という優れた特性を持っています。
そういう理由で、1.原子力発電所は海岸や大きな川など水の豊富な場所に建設されることが多い。2.核燃料の周りは水で満たされている。3.冷却も水でなされる。のです。
また、炭(炭素)は同じく中性子を吸い取る性質があるホウ素と化合した炭化ホウ素、カドミウム合金、インジウム、銀、ハフニウムなどで「燃料制御棒」として使われています。原子炉の種類によってBWR(ABWR)では4つの燃料棒の束の内側に十字型の制御棒があり、PWRは燃料燃料棒の集合体の間に制御棒を入れ、圧力容器内部の上から電動CRDクラスターという吊り下げ機で上下させ、炉心内の制御棒の数を調節して核分裂反応が進みすぎている時は、制御棒を多く差し込み、反応が悪いときは制御棒を抜いて、調節をしています。

★北朝鮮とかが何故原発に固執するのか?
上の電気事業連合会の核分裂の絵ではウラン235だけが連続的に核分裂するように描かれていますが、自然状態では割と?安定してゆっくりと44億7千年もかけてチョビチョビ放射線を出して崩壊するウラン238も、原子炉という環境の中では違います。
ウラン235から放出された中性子がウラン238に取り込まれて次のような核分裂を繰り返します。

天然ウラン鉱石にはウラン238が99.275%も含まれており、原子爆弾や核弾頭にするには、0.72%しか含まれていないウラン235を90%以上の濃度にまで精錬しなくてはなりません。このためには天然ウラン鉱(閃ウラン鉱)や、燃料用として売買されている(国際機関の承認が必要)イエローケーキ(6価ウラン)などの溶液を作って、これらを遠心分離機(ウラン238と235は重さが違う)で分離して、濃度を上げなければなりません。 ところが、どっこい。たった0.72%しか含まれて居ないものを90%以上に濃度を上げるというのは高い技術力が必要になります。しかし、原子力発電所を作って平和利用したいという目的でなら、イエローケーキの買取りを国際機関も認める可能性がありますし、まず原発用燃料としてウラン235が3%程度の濃度に高めるのは、核弾頭用の90%に比べればハードルが低い訳です。
で、実際に原発を稼動させれば、電気も発電できて、使用済み核燃料の中にはウラン238から変った、長崎型原爆でおなじみのプルトニウム239が出来上がっている。という事なのです。ちなみに、プルトニウムは放射線を出さないとしても猛毒で、プルトニウムだけを使用済み核燃料から精錬して粉末状にすると、常温で空気に触れただけで発火します。

★世界の原子力発電所


日本の原子力発電所(毎日新聞記事より転載)


★放射性物質・基礎の基礎★

最近は、”理科離れブーム”とかで、「高校は卒業しているけど、化学・物理・生物は分からない」という人が多いようですが、人間が生きていくための最低限度の知識というものは小学校〜高校までの科目にほぼ網羅されています。(おいらは古典・漢文・日本史と生物・化学が得意だったけど数学が嫌いで私立法学部一本に絞ってしまったが)
ではまず、おなじみの元素の周期律表を開いて見ましょう!(^_^)(追記:おいらが子供の時は丁度ビキニ環礁で核実験があったりしたので小学生の時から東京では”原子力教育”というか”放射能って何だ?”みたいな教育をされていましたが、先日のTVの報道によると30年前から原子力や放射能に関する教育がなされていないことを知りました。福島原発事故の後、”宇宙飛行士は380mSVも被爆しているのだから大丈夫だ”などという人も書き込みに来て、思わず”あんたは馬鹿だ!”と言ってしまいました。短期間の被爆と数ヶ月〜数年に亘る長期間被爆とをごっちゃにしてはいけません!)

この周期律表は「日本化学会 原子量専門委員会」が公表している日本での公式の周期律・原子量の表においらが色々書き込みをしました。ということは他の国では違う周期律表があるんか?ということですが、大体は同じです。ただ、原子の”重さ=原子量”というのは実は一定では無いのです。0.0000という位では結構変動しているので(多分中性子とか素粒子が出たり入ったりしている)計測した時、場所、時間、人によって、非常に小さい桁ではバラバラなのです。ということで、各国が自国用の周期律表を作っています。 なお、小数点以下2桁くらいではまったく同じです。(^_^)
まず、表で黄色く塗ってある元素は金属元素です。ほとんどが金属なんですな。では、表を見ながら話を進めていきましょう!

★放射性物質ってなんじゃ?★
・「安定同位体」:元素は、原子核(+の電荷を持っている)の周りを電子(マイナスの電荷を持っている)が太陽の周りを惑星が回るように、いくつかの軌道を持って回っていることは、学校で習ったとおりです。実際には惑星の回り方と違って、平面の軌道ではなくて、3次元でビュンビュン回っています。軌道というより、原子核からの距離が1番目、2番目、3番目。。という具合にある。ここまでは”理系嫌い”の人も大体知っている線ですね。
さて、広い意味で「放射性物質」というと、炭素にも13と14という放射性炭素があります。今、話題のセシウムにも134、137という放射性同位元素があります。これらの元素には放射線を出さない「安定同位体」という原子量の元素があります。
炭素では12、セシウムでは133の原子量のものです。周期律表に掲載されているのも、この「安定同位体」=放射線を出さない原子量の元素です。(この元素には安定同位体がある、とか安定同位体が無いという言い方をします。)
では”狭い意味での放射性物質”=要するにウランとかプルトニウムとかは何なのか?というと、この放射線を出さない「安定同位体」を持っていない、原子核自体が大変に不安定な元素なのです。上の周期律表の赤枠で囲んだ元素です。それでは、基礎知識として、この「安定同位体」の無い元素がどのように放射線を出していくのか、復習してみましょう。(^_^)

1.ポロニウム、ラドン、フランシウム、ラジウム、ウランに代表されるアクチニウム系の元素というのは、大変に原子核も電子もひっくるめて”重たい”元素です。陽子一つと電子一つからなっている水素を除いて、 物質の原子核は陽子、中性子からできています。←ヘリウム原子
さて、物質に働く力は大きく分けて「4つの力・基本相互作用」とがあります。それは1.強い力(原子核がバラバラにならないように引き付けている力)>2.電磁力>3.弱い力(電子を原子核の周囲に引き寄せている力)>4.重力の順に弱くなります。
この原子核を構成する陽子と中性子ですが、陽子は+の電荷を持っているので反発しあいます。これが電磁力です。しかし、陽子と陽子の間に中性子が入って電磁気的に中和しているので、”強い力”が作用して原子核はバラバラにならないのです。ちなみに、重力を10とした場合、電磁力は10の38乗、強い力は10の40乗あります。この「4つの力は最終的に1つの力として数学的に証明できるのではないか?」ということは学者の間ではおいらが高校生くらいの時から云われていますが、今のところまだ証明されていないようです(^^;
ところで、この陽子と中性子の数ですが、必ずしもヘリウムのように同じ数だけとは限りません。数のバランスから言うと全ての核種の中で最も安定な原子核は、ニッケル62(陽子28個、中性子34個)の原子核だったりします。またこの原子核が安定している原子核(核種)には、一定の法則性があり2,8,20,28,50,82,126の7つで、原子番号(陽子の数)がこれらにあたる元素は、周辺の元素に比べて多くの安定同位体を持っています。中性子数が該当する同中性子体についても同様です。
また、”二重魔法数”の元素(陽子と中性子の数が共に魔法数)も放射線を出さない安定した元素になります。
元素陽子数中性子数
ヘリウム422
酸素1688
カルシウム402020
カルシウム482048
ニッケル482820
ニッケル562828
スズ1005050
スズ1325082
鉛20882126

現実の問題として、上の鉛208が放射線を出さない”安定同位体”元素としては最も重い元素で、これより重い元素ではこの”魔法数”も当てはまりません。(・・;
”安定同位体”=放射線を出さない原子量の核(何の物質かは陽子の数で決まるが、そこに幾つの中性子があるかで原子量が変る)がまったくない元素が一般的に云う「放射性物質」あるいは「核物質」な訳です。
では、”安定同位体”の無い元素として最も有名なウランを例に取って、どのように崩壊していくのか、見て見ましょう。ヽ(’’)

左は鉱石から精錬したウラン単体のものです。ゴム手袋で持っても平気なのか?と思うでしょうが、燃料として濃縮加工する前のウランは”天然ラジウム温泉”より放射線は低いのです。このウラン238がほとんどを占めている状態では、手で持ってほんのり温かく感じる程度です。右は6価ウランで別名「イエローケーキ」と呼ばれ化学的に最も安定した状態です。 先ほどの周期律表を見ていただければ分かりますが、「アクチノイド系元素」は電子の内側の軌道の”電子の席”が埋っていないのに、外側の軌道を電子が回ってしまうという特徴があり、3価〜6価までの-イオンの状態があります。
ウランは鉱石として掘り出された状態で、ウラン238が99.275%、原発の燃料となるウラン235は0.72%、ウラン233は0.005%しかありません。いずれも放射性物質で、放射線を出さない「安定同位体」はありません。

上の図はウラン238が自然崩壊して、最終的に鉛となって放射線を出さなくなるまでの過程をまとめた図です。α、βと書いてあるのはその度に放射線(α線、β線)を出して別の物質になることを顕しています。
さて、天然のウラン鉱石では、ウラン238が99.275%も含まれていますが、ウラン238は(原子炉内での連鎖反応)の絵のような連鎖反応を起こしづらいため、初期の原発は燃料として大変に効率の悪いものでした。そこで、より不安定(連鎖的に核分裂を起こす)なウラン235だけを濃縮する方法が考え出されました。これが茨城県などにある核燃料工場です。一般的には軽水炉用でウラン235が3〜5%の低濃縮、原子爆弾にするときは90%以上に高濃縮されます。

★原発の中や原爆の爆発時にはどうなるのか?
上のウラン238の崩壊表はあくまで自然環境にあるウラン238の崩壊する過程ですが、人工的な環境である原子力発電所(ウラン235が2〜3%)や原子爆弾(ウラン235が90%以上)ではどのような反応が起こるのでしょう?
★テレビの電波も電子レンジも放射線も同じ電磁波!

上は文部科学省で作成・配布していた「光マップ」というポスター?から一部を抜粋したものですが、皆さんが日常生活で使っている電波〜光〜放射線という順番で周波数が高くなるだけで、基本的には皆同じ電磁波(電場と磁場の波)です。
この電磁波は1.基本的に波の性質を持つこと。
2.同時に粒子の特徴も持つこと。
3.周波数が高いほど、エネルギーが強いこと。(あるいは情報量を多く乗せられること)
4.超長波(3〜30KHzくらい)は、情報量は少ないが地球上を這うように進み、地球に沿った形で長距離まで届くこと。また、普通の電磁波は水の中では拡散して通過できないが、超長波は地上〜水中40mまで透過すること。以上の性質を利用してGPSが出来る以前は「電波灯台(北海道と九州にあった)」として、船が自分の現在位置を知るために使われていた。また、戦時中、日本の潜水艦もこの「電波灯台」のお陰で太平洋上のどこに自分がいるのか知ることができた。(この2方向からの超長波を受信して、電波が来る角度(三角関数だよ〜)から現在位置を自動計算して表示する機械を『ロラン』と云います)、現在はGPSがメインとなったので電波時計などに利用されています。
5.電磁波(無論放射線も含めて)は1/(距離)2づつ減衰(弱くなること)・マックスウェルの法則。
6.送電線の近くでは、関西60Hz、関東以東50Hzの電磁波が出ており、これらは低周波と呼ばれ、発がん性があるという研究者もいるが確定はしていません。また、高圧電線の近傍の工場にあるパソコンが火を吹いて電力会社と裁判になり「送電線からの電磁波が原因」と電力会社に損害賠償を命じた判例もあります。

さて、電磁波とは何か?というと、原子が振動した際に電場と磁場が発生し、その双方の振動の周波が合成された波が『空間』を歪ませて伝播するものです。この振動によって歪むのは空間そのものなので、空気や水といった波の「媒介をする物質」は不用です。よって真空に近い宇宙でも通信が出来る訳です。(^_^)
★α線、β線、γ線、X線の違いって??

整理すると以下のようになります。
・電波や光を始めとする電磁波=原子の軌道を回っている電子が他の軌道に移動するとき(遷移)の”振動”が”空間(3次元空間とか云う時の空間)”を歪ませて出来た波が伝わったもの。周波数が高いほどエネルギーが高い(遠い軌道に移動しているということ)。X線・γ線も電磁波で周波数による区別ではなく、発生するメカニズムの違い。発生源からの1/(距離)2に比例して弱く(減衰)なる。
・α線=原子核がα崩壊して中性子2個と陽子2個が原子から飛び出してくる”重粒子線”「紙1枚でも防げる」と云われるが、放射性物質の量によっては、1mm厚の鉛板でも防げないこともある。空気中では発生源から220m進むと崩壊して、素粒子となる。良く子供向けの「霧箱」を使った実験で白い線となって見えるのは、このα線である。注意したいのは、確かに少ない線量であれば「紙1枚」でも防げるが、遮蔽物にα線がぶつかった瞬間、その余ったエネルギーからγ線が放出されることである。
・β線=原子核がβ崩壊して飛び出した中性子も壊れ、中から電子と反電子が飛び出す粒子線。なお、電子と反電子(陽電子ともいう)は素粒子であるが、中性子、陽子は素粒子の集まりで電子などより”重たい”。反電子は”ポジトロン”とも云われて、現在がん治療にも使われている。格納容器のような閉鎖された空間では電子と反電子がぶつかり合って打ち消しあい、エネルギーを出して消滅する。また、電子と反電子が同時に出るのではなく、電子が主に出る-βと反電子が主に出る+βがある。
・中性子線=放射性物質の核が崩壊する時に飛び出す中性子の粒子。1個の中性子は空気中では220mしかもたないが、中性子が崩壊した後、陽子、反陽子、電子などが再度被爆させる。中性子線を主に出す「中性子爆弾」は中性子線だけを多量に出すように製造された核爆弾で建物などを壊さず、残留放射線を残さず、生き物だけを殺すところから「きれいな核兵器」と呼ばれる。それに対して原発などの高レベル廃棄物などを撒き散らし、あちこちを放射性物質で汚染する爆弾などを、残留放射能が長く残ることから「汚い核兵器」と呼ばれる。この「汚い核兵器」は核実験をする必要が無く、原発の廃棄物を利用すれば良いだけなので、”核テロリスト”に最も使われ易いとされ、原発保有国ではテロリスト対策には必ず含められている。
・γ線=原子核がα崩壊、β崩壊をしてα線、β線を放出しても、核分裂して他の物質に変わった原子が、その元素としてはエネルギーが多すぎる時にバランスを取るために、放出される電磁波。よって粒子ではなく、空間の振動の波である。
・X線=周期律表の3族(族はたて列)〜11族の元素は”遷移元素”と言って、他の元素が内側の軌道(1番目2個、2番目4個など)から順番に電子が”席”を埋めて、外側の軌道へと行くのに対して、内側が埋まっていないのに、外側の軌道を電子が回ってしまったり、また内側に入ったりと言うことを繰り返す(電磁波)性質がある。大きな元素で隣の軌道とかではなく、一番外側から一番内側などに大きく移動(遷移)すると周波数の高い(エネルギーの大きい)電磁波が出る。これがX線である。γ線と周波数の区別は無く、発生するメカニズムの違いである。レントゲン写真などでは、放射性物質(針の先程度の微量)に電気を流し、その電子をぶつけて強引に遷移を起こさせてX線を放射している。

★「臨界量」とは?
放射性同位体元素はその物質の種類によって、ある程度の塊となると放って置いても次々と連鎖的に核分裂を起こしていきます。例えば、ウラン235とプルトニウム239の場合だと、下のようになります。

これは独)日本原子力研究開発機構(JAEA)がプルサーマル計画の説明のために作ったパンフレットの一部ですが、周りに何も無い金属状態のウラン235とプルトニウム239 の場合はウラン235は21.85Kg、プルトニウム239は5.43Kgで臨界量、つまり人が何もしなくても、勝手に核分裂を連続的に繰り返して放射線を出し続ける状態になります。ところが、この量はあくまで”周りに放射線を吸収したり反射したりする物質”が無い状態での分量です。図にも描かれていますが、中性子の反射材となる水に溶けた状態は約10分の1で臨界量に達します。これは水の分子で外部に出られなくなった中性子が水溶液の内部でより多く反射して、連鎖的な核分裂が起き易くなるためです。金属の容器などに入れた場合もその金属が反射材となって、臨界量が少なくなりますが、放射性物質の種類・反射材となる物質の種類によって臨界量は変わってくる。と理解してください。
臨界(次々と放射性元素が核分裂を起こす状態)状態にある放射性物質の出す中性子の量を1とした場合、原子爆弾は打ち上げ花火の玉のように、真ん中か、周りに爆薬を入れ、爆薬の周囲(または爆薬に囲まれた真ん中部分)に小さく分けたウラン235やプルトニウム239を入れ、高度計などで攻撃する場所の一定の高度になったら、爆薬のスイッチが入って、爆薬の爆発力で一気に小分けにしたウランやプルトニウムをくっつけ臨界量を上回る塊にして、核爆発を起こさせます。
これに対して原発は、やはり臨界量を1とすると、1を少し上回って冷却水(沸騰させてエネルギーを取り出す役目も果たす)の温度が上昇したら、燃料制御棒を入れて、中性子を吸収させ、臨界量1を少し下回る中性子量にして、冷却水の温度が発電に適さない温度に下がりそうになったら、また制御棒を抜いていく、という作業を24時間、365日休まずにやっている訳です。ヽ(’’)日本の原発の場合、この制御棒の上げ下げを水圧を利用して行っていたので、水を送り出すポンプが津波で壊れて外部からの電源も無くなったため、熱が高くなりすぎて、メルトダウンを起こしたのです!

★同じ元素で放射性物質と安定同位体のある元素
通常、周期律表では安定同位体=放射線を出さない物質が掲載されていますが、原子炉の中や原爆によってウランが崩壊することで”人工的に作られてしまう” 放射性同位体というものがあります。福島原発の2回の水素爆発で建屋の屋根が吹き飛んだとき、以下の表の放射性物質も拡散したはずです! テレビ・新聞・政府共にセシウム137とヨウ素131ばかり放送し、現在でもニュースではこの2つの物質だけ報道し、政府もこの2物質だけを検査していますが、間違いです! ここに掲載した全ての放射性同位体が世界中に飛び散りました。マスコミ・民主党政府を信用してはいけません!!(#−−)

なお、表中の放射線の出力としてMeV(メガ・エレクトロン ボルト)という単位が出てきますが、これは1つの原子が放射線を出すときのエネルギー(出力)を表す単位で、 当然、同じα線でも”1mm厚の紙1枚で防げる”ものと”1mm厚の鉛板でも防げないもの”があることに注意して下さい!。但し、これらの安定同位体を持っている元素のほとんどは一つの原子当たり1回〜2回放射線を出すと、安定した物質に変わりますが、安定同位体の無い元素では一つの元素が放射線を出さない元素に変わるまで数回〜10数回放射線を出すことに注意して下さい!
★何故、セシウムはカリウムと同じ振る舞いを体内でするのか?
福島原発事故以降、良く報道で”セシウム137は体内でカリウムと同じ振る舞いをするので内部被爆の危険性がある”などと解説されていましたし、実際セシウム137に 汚染された稲わらを食べた和牛が内部被爆して、その肉からもセシウム137が発見されて出荷停止処分とかになりました。この「セシウム137がカリウムと同じ振る舞いを体内でする」のは何故なのか?も周期律表が答えてくれます。

今度は周期律表に「人間が(多分哺乳類は全て同じと思うが)生きていくのに必須の元素」を薄い黄色で塗って見ました。見れば一目瞭然!!\(・_・)
セシウムはカリウム・ナトリウムと同じ縦の列・T族に属していますね。周期律表に載っているセシウムは133の原子量の放射線を出さない”安定同位体”ですが、何の物質かは陽子の数で決まります。放射性セシウム134、137も陽子の数は132の原子量の”放射線を出さないセシウム”と 同じです。陽子の数が変わると、別の元素になります。この周期律表の縦列(族)の元素は化学的に似通った性質を持っています。カルシウム⇔マグネシウム、ナトリウム⇔カリウムというのは、心臓、胃、腸などの内臓も含めた筋肉細胞を動かすのに重要な働きをしています。熱中症でこれらの元素が足りなくなると筋肉が痙攣を起こし、最終的に動かなく(心停止)なります。 ところが、セシウム137もカリウムと同じT族の元素なので、化学的性質が似通っているため、身体が”勘違い”して、カリウムだと思って筋肉に取り込んでしまうのです。そして、筋肉内部に取り込まれたセシウム134、137からβ線とγ線が長期(約100日前後)に亘って体内の無防備な細胞に放射され、細胞をガン化したりすることになるのです。
放射性ヨウ素は、そもそもがヨウ素自体成長ホルモンを作るのに必須のミネラル・で甲状腺に集まります。また周期律表を見ていただければ分かるとおり、放射性ストロンチウム90はカルシウム、マグネシウムと同じ族、放射性鉛・ビスマス・ポロニウム・アスタチンも必須元素と同属で、原子炉で放射性同位体が生成されます。 体外の被爆はそこそこ耐えられますが(年間1mSv程度)、体内は服など遮るものが無い状態で被爆しますので注意が必要でしょう!また、現在何の放射性物質か特定する機器は日本で1個か2個というレベルしかありません。妊婦さんや乳幼児、子供がいる家庭では、未成年者は細胞分裂が活発なので、国の暫定基準値などウソ八百だと思った方が良いです。当初、文部科学省が学校の校庭の暫定基準値としていた20mSv/年など、旧ソ連がチェルノブイリ原発事故の際に「未成年者立ち入り禁止区域」に定めた3mSv/年よりはるかに大きな放射線量なのです!そして、旧ソ連(現ウクライナ)では10数年後にこれらの子供たちから多数のガン患者を出しました。日本の役人は独裁政権だった旧ソ連より子供に冷たい行政をしていると云わざるを得ません(#−−)

★半減期が短いから”大したことが無い”の嘘!!
報道では「放射性ヨウ素131は半減期がおよそ8日間なので心配いらない」ということを盛んに言っていました。実は心配するべきなのです。それは次の理由によるものです。
1.「半減期」というのは、きっちり半分になる時間という意味ではなく、おおよそ半分くらいまで他の物質に変わる確率という意味であること。(つまり、半分にならないかも知れない)
ps.ただしセシウム134は原子核崩壊の割合が極めて正確なので、原子時計に使われ、日本の時計は電波時計も含めて全てこの時計に時刻を合わせるように設定されています。←例外。
2.ある放射性物質が短い期間で半分になるということは、1つの原子核が崩壊したり放射線というエネルギーを出しながら、別の物質や別の原子量の物質に変わっていくことが、短時間で行われることを意味する。ということ。
半減期が長い物質ということは、同じ原子数の埃や塵だとしたら、1つの原子が崩壊して放射線を出してから、次の原子が崩壊して放射線を出すまでの時間が長い=時間当たりの放射線量は下がるということを意味しています。
例として放射性ヨウ素131(半減期8.04日)と同じく今回報道されている放射性セシウム137(半減期30.1年)で、1日24時間当たりの放射線エネルギーを計算してみましょう!それぞれ、ある人の体内に入ったカケラの原子の数を10万個と仮定します。
放射性ヨウ素131は10万個の原子が8.04日で5万個になるのですから、先ほどの「安定同位体のある放射性物質」の表から、1個の原子が崩壊する時に、0.606MeVのβ線と0.637MeVのγ線を出すのですから、8.04日後までにβ線は0.606MeV×50,000=30,300MeVのβ線と0.637MeV×50,000=31,850MeVのγ線を出します。8.04日×24=192.96時間。β線は1時間当たり30,300MeV÷192.96≒157.03MeV。γ線は1時間当たり31,850MeV÷192.96=165.06MeVになります。一日24時間ではβ線157.03×24時間=3768.72MeV、γ線は165.06MeV×24時間=3961.44MeVです。これが1日当たりの10万個の原子を持ったヨウ素131の放射線エネルギーということです。
一方、放射性セシウム137は10万個の原子が30.1年で5万個になるのですから、25.1年×365日+5年×366日(うるう年)≒9150日。セシウム137は「安定同位体のある放射性物質」の表により、1個の原子が2回崩壊する時に、β線0.514MeV+1.18MeV=1.694MeV、γ線(2回目の時)0.662MeVのエネルギーの放射線を出すのですから、それぞれに5万個をかけると、β線1.694MeV×50,000=84,700MeV、γ線は0.662MeV×50,000=33,100MeV。1日当りだとそれぞれを9150日で割るので、β線は84,700MeV÷9150日≒9.26MeV。γ線は33,100MeV÷9150日≒3.62MeVとなります。
驚きませんか?何と放射性ヨウ素131は1日当りで換算すると、セシウム137の、β線は約400倍、γ線は約1000倍のエネルギーの放射線を出すのです!(・◇・)
つまり、半減期が短い放射性元素では原発の爆発からごく短い期間に被爆者を作ってしまうということなのです。実際に放射線被爆医療センターの調査では福島県で50人以上の未成年者の甲状腺被爆が確認されています!
但し、先ほども言ったように、半減期というのはあくまでも”確率”なので、1日とか1時間という短い単位で見ると、一度に何千個もの原子が崩壊して放射線をドバっと出している時と、数10個しか崩壊していない瞬間があります。この辺は”かなりアバウトだ”(セシウム134を除く)ということも知っておいてください。例えば、事故直後に余りセシウム137の放射線が出ていなかった地域が、数年後に崩壊が活発になって「何で今頃?」ということもあるのです。半減期は「○○年後には50%になっている確率が最も高いでしょう」という意味です!
★ベクレルとシーベルト
放射性物質から出ている放射線量がベクレルBq、実際に身体が受ける照射線がシーベルトSvというのは、既に報道などで理解していると思います。「じゃあ、買おうと思った物が○○ベクレルだ。という時にそれをシーベルトに換算するとどのくらいなんだ?」という疑問が出てくると思います。
ここで、換算式を紹介します。(独)放射線医学総合研究所による)
飲み物・食べ物などに含まれ、体内被曝をする可能性のある場合

例えば、大人がヨウ素131が9.0Bq/Kgの水道水を毎日2.0L飲んだり、米を炊いたりするのに使って1ヶ月間、体内でどのくらい被爆したかというと、
0.022(実効線量)×9.0×2.0×30=11.88μSv体内被曝したと言えます。気をつけて欲しいのは乳児や子供の実効線量が高いということです。これは子供のほうが細胞分裂が活発なので、放射線で遺伝子が傷つく可能性が高いといううことを意味しています。
同じ条件で乳児だと、0.18×9.0×2.0×30=97.2μSv。大人の8倍もの放射線量を受けたのと同じ影響があります。
空間線量=空気を肺に吸い込んで被爆する場合

★”暫定基準値内”は安心なのか?化学的に根拠は何も無いという怖さ!


さて、まず国の定めた、所謂”暫定基準値”ですが、テレビのニュースなどで「いや〜、暫定基準値内だから安心して買えますよ!買うことで東北を少しでも支援しなくては!」という言葉を言っている人々がいますが、 本当でしょうか?上の左側が、平常時と原発事故時の暫定基準値とを併記している絵ですが、大きく差があることに気が付きませんか?そう、”暫定基準値”というのは、せいぜい数日程度は年間に換算して100mSvくらいは被爆しても仕方が無いという意味で、1年間100mSvも被爆したら、 かなりの確率でガンや白血病、その他の疾患(遺伝子のどの部分を放射線で傷つけられるか分からないため、必ずしも全てガンと白血病になると限定は出来ない。生殖細胞がおかしくなって奇形児が生まれるかも知れない)で、”安全だ!保障する”という数値ではないと理解して下さい。もし、理解したうえで、命がけで子孫も滅ぼす覚悟で東北の産物を買ってやろう!というのだったら、 人間として尊敬に値する行為だと思います。さて、上の右の絵を見てください。これも文科省で作成されて、世間にかなり出回っているものですが、赤枠で囲ったところを良く見てください。「年間1mSvが通常の場合の限度数値」であると書かれていますね。限度数値というのは実際には「ある程度、身体の具合が悪くなる人も出るが、それは半分以下であろう」 という程度の意味です。この1mSv/年間というのは365日で割って、更に24時間で割るとおよそ時間当たり0.11μSv/hになります。今、個人でも放射線量計を購入した方が多いと思いますが、毎時0.11μSvを超える所には行かない方が無難です!。さて、同じ絵の下のほうに「10μSv/年 クリアランスレベル導出の線量目安値」と書かれていますね。これが、「恐らくは大きな影響は人間の身体に出ないであろう」という放射線量で、だから「クリアランス」なのです。さて、 10μSv÷365日÷24時間=0.0011μSv/時間。このレベルまで計れる線量計は中々無いのですが、このくらいまで下げる必要があります。
1mSvが限界だと決めていた放射線量を事故の時は仕方が無いとその20倍や100倍に上げられるものでしょうかね?放射線という極めて有害なものが!(#−−)また、政府・枝野が良く言っていた”直ちに健康に影響は無い”というのは”即死はしないけど後でガンや白血病になるかは保証の限りではない”という意味だと知りましょう!
下の文章は福島の事故以後、独法・放射線医学総合研究所が一般の人を安心させる目的で作ったPDFファイルですが、重大な間違いをやらかしています。赤線部分は「食品・飲み物・空気」といった体内に取り込まれる場合を説明しています。それとの比較として飛行機に乗って日本からアメリカに移動した場合に受ける放射線量を持ち出しています。賢い方はすぐに「阿呆か〜!」と気が付きますね。 食品・飲み物・空気は内部被爆です。皮膚という皮1枚あるだけで、かなりのα線を(皮膚はガン化するかも知れないが)防御できますが、角質層を持っていない内臓は大変にデリケートです。飛行機に乗っているときの外部被爆の時とは比較することは出来ません!ここからも政府・民主党が一体となって<国民をごまかそうとしている」ことが分かりませんか?
はっきり言いましょう!化学的に今、公開されている情報で、確かなデーターは広島原発爆発後に広島市内に入ってしまった人々のデーターです(米軍は戦後内部被爆データーが欲しくて人口数千人の村人に放射性物質の水溶液を注射、○mSvだと何ヶ月後の生存率は何%というデーターを取り、全村人を人体実験として殺してしまったことがあるが、そのデーターは一般には公開されていない)。そしてその数値はたった2つ。1〜10SVの放射線を浴びると100%の人が即死する。300mSv以上の放射線を浴びると、100%の人がいずれはガンになって死ぬ。分かっているのはこれだけなのです(#−−)
★自然放射線レベルなら安心なのか?
福島原発事故以前に我々が自然界から受けていた、所謂”自然放射線”というものはどのくらいなのでしょうか?ここは、独立行政法人・放射線医学総合研究所の記述を表にまとめてみました。
宇宙からの放射線0.4mSv
大地に含まれる放射性物質0.5mSv
飲食物に含まれる放射性物質0.3mSV
大気中に含まれるラドンから1.2mSv
参考:成田ーNY往復0.1mSv
合計2.4mSv(成田-NY間年1往復した場合は2.5mSv)

*放射線医学総合研究所では、もう少し細かく計算ができるシステムがあります。
飛行機で海外に出かけた場合の被爆線量計算 http://www.nirs.go.jp/research/jiscard/data/index.shtml 
日常品・工業製品での被爆量計算 http://www.nirs.go.jp/db/anzendb/NORMDB/index.php 

例えば、鉄筋鉄骨コンクリートのマンションに住んでいたとしましょう。あなたの住んでいる建物の鉄筋や鉄骨、コンクリートからも毎日放射線が出ています。
鉄からは、1日10時間マンションの部屋にいた場合だと年間で0.021mSv
コンクリートからは、同じく1日10時間として、年間で0.068mSv
合計で0.089mSv(コンクリートの厚さや使っている鉄の量などマンションやビルによって異なるのであくまで概算です)被爆していることになります。(・・)
また、「宇宙飛行士はもっと多く被爆しているとか、海外出張や海外旅行の多い人は、そうでない人より多く被爆しているのだから、福島なんて大したことは無い」という意見をネット上で良く見受けますが、これは間違いです。
何故なら、放射線の専門家(同研究所)の見解としても”宇宙からの放射線は地球に存在する物質の放射線とはまったく異なる特性があり、人体への影響はまったく分かっていない”
というのが「ぶっちゃけたところ」で、分からないと答える専門家がまともな専門家です。

★はっきりとした原因が分からない白血病!
さて、何もかも”放射線のせい”にするのも非科学的ですが、自然放射線程度の放射線量以下(計測する場所、時間、計測器の精度、地上からの高さなどによっても変わってくる)2.4mSV/年=365÷24≒0.27μSv/時間よりも少なかったら、安全なのでしょうか?
1985年 09月11日 女優・夏目雅子 ・・・急性骨髄性白血病で感染死。(27歳)
1989年 08月21日 俳優・渡辺謙  ・・・急性骨髄性白血病 化学治療で治癒。
1994年 08月11日 俳優・渡辺謙 ・・・再発 3ヶ月入院
1995年 01月26日 元関脇・蔵間  ・・・慢性骨髄性白血病による急性転化多臓器不全で腫瘍死。(42歳)
2000年 07月22日 タレント・吉井怜  ・・・急性骨髄性白血病。
2000年 08月24日 K-1のアンディ・フグ ・・・急性前骨髄球性白血病による脳内出血で死去。(35歳)
2001年 07月11日 タレント・吉井怜 ・・・骨髄移植で治癒
2004年 01月31日 落語家・桂文治 ・・・急性骨髄性白血病による腎不全で死去。(80歳)
2004年 05月10日 歌舞伎市川團十郎・・・急性前骨髄球性白血病 化学治療で治癒
2006年 12月20日 漫才・中島忠幸 ・・・急性リンパ性白血病で死去(35)
2005年 11月06日 歌手・本田美奈子・・・急性骨髄性白血病で入院、死去

まだ、記憶に新しいこれらの芸能人の”早すぎる死”が、絶対に自然放射線で血液のガン=白血病になったわけではないと言い切れるでしょうか?
以下は国立ガンセンターの白血病に関する解説です。
国立ガンセンターの解説(白血病とは?) いわゆる「血液のがん」のことです。血液は、酸素を運搬する赤血球、主に細菌やカビ、ウイルスを攻撃する白血球、血管の壁に張りついて出血を止める血小板などの血球と、液体である血漿(けっしょう)成分から構成されています。 普段は赤血球の色で赤く見える血液が、がん化した白血球が異常に殖えて白く見えることから、「白血病」という名前がつきました。この病気は、1800年代にドイツの有名な病理学者であるVirchow(ウィルヒョウ)先生がはじめて報告したのですが1)、当時は十分な検査法や満足のできる治療法はありませんでした。今は容易に血液検査ができますので、血液が白くなるまで診断がつかないことはほとんどありません。以前は「白血病=死に至る病」でしたが、現在では医学の進歩により、治癒が期待できる病気の1つになっています。 白血病には、いくつかの種類があります。急速に進行する「急性白血病」(芽球が急速に殖え、治療しないと数週間から数ヵ月以内に命を落とす)と、ゆっくりと経過する「慢性白血病」(さまざまな成熟段階で白血球が殖え、場合によっては年単位で進行する)、あるいは殖える細胞の種類により、顆粒球などの骨髄球系の細胞を起源とする「骨髄性白血病」と、リンパ球系の細胞から発生する「リンパ性白血病」とに分類されます。

白血病の分類
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1) 急性白血病 (1) 急性骨髄性白血病(Acute Myeloid Leukemia:AML)
(2) 急性リンパ性白血病(Acute Lymphoblastic Leukemia:ALL)(急性リンパ性白血病バーキット型はEBVウイルスによることが判明、また成人T細胞性白血病も日本においてHLTV−1ウイルスの感染によることが判明)
2) 慢性白血病 (1) 慢性骨髄性白血病(Chronic Myelogenous Leukemia:CML)
(2) 慢性リンパ性白血病(Chronic Lymphocytic Leukemia:CLL )

白血病の原因は、まだ完全に解明されたわけではありませんが、白血病を含めて、「がん」はいくつかの遺伝子異常(遺伝子の傷)が原因で発症すると考えられています。「ファンコニー貧血」、「ダウン症候群」、「ブルーム症候群」等と呼ばれるまれな病気は、いずれも生まれながらにして遺伝子異常を持つ血液の病気で、特に白血病の発症頻度が高くなることが知られています。もちろん、その疾患の患者さんが必ず白血病になるというわけではありません。 また、広島、長崎の原爆投下後に、その周辺で白血病が多発していて、放射線も原因 の1つになり得ることがわかっています。ほかにベンゼンやトルエンなどの化学物質や、アルキル化剤を含む抗がん剤もまた、白血病発症の要因になるといわれています。 一部の感染症も、何らかの仕組みで白血病につながります。九州や四国に多いとされるHTLV-Iというウイルスは、成人T細胞白血病/リンパ腫の原因とされます。また、日本人の多くが感染しているEBウイルスも、バーキット型白血病/リンパ腫の原因になる可能性があります。もちろん、これらのウイルスに感染すると必ず白血病になるというわけではありません。 「白血病は遺伝するのか」ということを気にする方がいますが、一般的に白血病は遺伝しません。ですから、白血病の父母を持つ子どもが必ず白血病になるというわけではありません。また、白血病の患者さんに接したからといって、白血病が伝染することもありません。

白血病の原因
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a) 先天的 ファンコニー貧血
ダウン症候群
ブルーム症候群など
b) 後天的 放射線
化学物質(ベンゼン、トルエン等)
薬剤(抗がん剤)
ウイルス(HTLV-I、EBウイルス等)

白血病の症状はさまざまで、白血病に特徴的なものは特にありませんが、その症状は急性白血病と慢性白血病で若干異なります。
1)急性白血病の症状
血球のもとになる細胞は、骨の中にある骨髄にあります。白血病の場合、骨髄の中で白血病細胞(がん細胞)が異常増殖するため、血液をつくる場所がなくなり、正常な血球(赤血球、白血球、血小板)が減少します。酸素を運ぶ赤血球が減ると貧血になり、顔面蒼白、全身のだるさ(全身倦怠感(ぜんしんけんたいかん))、ちょっとした動作での動悸(どうき)や息切れが認められるようになります。 白血球が少なくなると、感染症を起こしやすくなります。その場合、発熱は感染症を示唆する重要な症状です(なお、発熱は感染症だけでなく、白血病細胞が殖えること自体で起こる場合もあります)。 血小板が減ると、青あざ(紫斑)ができやすくなり、鼻血や歯ぐきからの出血が認められるようになります。 白血病細胞が骨髄で殖えすぎることによって、骨や関節が痛むことがあります。あるいは白血病細胞が血管外に出て、さまざまな臓器に浸潤(しんじゅん)し、肝臓や脾臓が大きくなったり(肝脾腫(かんひしゅ))、リンパ節が腫脹したり、歯肉の腫(は)れることがあります。あるいは白血病細胞のかたまり(腫瘤(しゅりゅう))等をつくることもあります。白血病細胞が脳や脊髄の中に浸潤することもあり、そのときは頭痛、吐き気等がみられることがあります。この状態を“中枢神経白血病”、あるいは“中枢神経浸潤”と呼びます。

急性白血病の主な症状
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貧血症状 : 顔面蒼白、全身倦怠感、動いたときの動悸・息切れ等
感染症状 : 発熱、咽頭痛(いんとうつう)、せき、下痢等
出血症状 : 紫斑(しはん)、鼻出血、歯肉出血等
感染症状 : 骨痛、肝脾腫、リンパ節腫脹(りんぱせつしゅちょう)、頭痛、嘔気(おうき)、腫瘤形成等
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2)慢性白血病
慢性白血病は進行がゆっくりであるため、初期にはほとんどの患者さんが無症状で、 健康診断の血液検査をきっかけに診断されることがよくあります。このほか、脾臓や肝臓が大きくなったり、 リンパ節が腫れたりすることがあります。これに加えて、慢性リンパ性白血病では免疫力が低下し、 細菌、カビ、ウイルスによって、溶血性貧血などの自己免疫性疾患を合併したりすることがあります。


「急性骨髄性白血病の発症率は年間人口10万人あたり3-4人と考えられている」「急性骨髄性白血病は若年者も発症するものの、高齢者の発症率はより高い為、人口の高齢化とともに発症率は増加している」(-国立がん研究センター・最新がん統計)
白血病の中にはウイルスや化学物質によって罹患することが分かっているものもありますが、後の”原因不明”の患者の中には、「自然放射線によるものも含まれている」とおいらは考えます。
他のガン・心臓疾患・脳疾患の中にも自然放射線による体内被曝が原因となるのものある。と推定できると思います。例えば自然放射線源として最も多いのがカリウム40(人工ではできない放射性物質・半減期12.5億年)です。この物質は必須ミネラルで安定同位体のカリウム41ですが、カリウムを含んだ食品・飲料水を摂取すれば必ず体内に入って被爆します。およそ成人男性で1秒間に4400個のカリウム40が体内で崩壊して被爆しているとも云われています。
ご承知のようにカリウムは筋肉を動かすのに必要ですし、神経の命令伝達にも必要な物質です。放射性同位体であるカリウム40が筋肉・血液や神経に取り込まれて、その放射線で血管内腫瘍や脳腫瘍を起こしている可能性もある訳です。ヽ(’’)

★福島原発事故の大雑把な推移と原因★

何故、福島第一原発は大事故となったのか?テレビ・新聞などの報道を元に時系列で3号機水素爆発までを表にまとめてみました。











3号機水素爆発後も汚染水が海に流れ出ているなど多数の問題が生じましたが、最も大きかったのは水素爆発によって1号機、3号機の建屋が吹き飛んで、広範囲の地域を 放射性物質で汚染してしまったことが今回の事故の重要なポイントであると考えるからです。ヽ(’’)
では”水素爆発”は防ぐことができたのでしょうか?上の表を見ていただければ分かるとおり、”全ては時間との勝負”でした。
3月11日15:27福島第一原発を第一波の津波が襲いました。それから数度に亘って(特に2波目が大きかった)原発は津波に飲み込まれます。地震では原発に大きな損傷は無く、 その後のメルト・スルーに至った原因は津波だったことは、皆さんもご存知の通りです。
エネルギー総合研究所の内藤部長が開発した原子炉内解析ソフト(サムソン)による計算結果では17:00(津波第一波から1時間半後)に1号機の冷却水が全て蒸発、核燃料の溶融(メルト・ダウン)が始まっています。また、これより遅いですが、国の解析ソフト(マープ)でも18:00にはメルト・ダウンが始まっている事になります。
本当にこの1時間半〜2時間半の間に”何も出来なかった”のでしょうか?ここに一つの発想の問題点が考えられます。
@東電の現地技術者は電源が無くなったから、センサーが働かず内部の様子が分からないだけで、原子炉自体には非常用注水がなされているはずだ。という思い込みが津波遭遇当初見受けられること。
A東電から報告(これも内閣に伝わるまで時間を要しているが)を受けた菅総理・海江田経産相が電源が喪失してポンプを動かせないのなら、電源車を持っていけばいいと自衛隊・米軍に依頼して大型電源車を輸送ヘリ(CH47)に吊り下げて福島に持って行かせようとしたが、重すぎて吊り下げられないことが判明して無駄な時間を使っていること。
さて、原発事故が起こった場合、最も重要なことは何でしょう?それは、ただ1点。放射性物質の拡散を防ぐこと→核燃料が核分裂の熱でメルトダウン・メルトスルーを起こさないように水で冷やし続けること。実際には付随した問題がたくさんありますが、本質はこれだけなのです。津波の泥水でポンプそのものが破損している可能性もあったのですから。
で、菅内閣の対応ですが(菅は東工大という理系ではトップクラスの大学を出ている割にはNa爆発を心配するなど高校生レベルの核物質の知識しか無い)電源車は所内のポンプが使えることが確認できてからでも、OKだった→大型電源車に自走で福島原発まで行かせても構わなかった。あの時本質的に必要だったのは一刻も早く核燃料格納容器に海水でも何でもありったけの水を注入すること。だったのです。
あの時、内閣ができた最良の方法は、14:46地震発生と同時に、茨城の百里基地のF15戦闘機4機を「余震の合間を見て、直ちに福島第一、第二、宮城女川原発に全速力で向かえ!各機分担して現地の管理センターに無線機とバッテリーを投下せよ!」と命令を出して、原発→東電→保安院と報告が上がって来る時間を節約することでした。恐らくF15の速力から言って、飛び立てば10分もかからずに福島には行けたはずです。
恐らくは、無線機を現地の職員が室内に運び込んだ頃、津波が原発を襲ったでしょう。その時に無線機で官邸から「今後の対応は危機管理上官邸が指揮を取る。東電に報告する前に官邸に状況を知らせよ」と連絡。→電源喪失により炉内の状況が分からない。と現地から報告(この時点で内閣総理大臣は即時にエンジンポンプ+消防ポンプ用ホース+何台かのエンジンポンプを繋ぐためのジョイント用パイプの搬送を決断していなければならない)→冷却水用のポンプが電源喪失により動かない。と現地から報告(ここまでで恐らく30分以上は時間がかかっている)→最も近い百里基地に自衛隊、もしくは国交省河川管理事務所(最も近い茨城県内の事務所)が保有するエンジンポンプ他資材をありったけヘリで集めさせる。(これで1時間既に原子炉は空焚き状態)→炉内が高温の水蒸気で満たされていることを想定して内閣総理大臣はベント弁の開放と運んだエンジンポンプ(パワーが足りないことを想定して何台かをジョイントで繋いで冷却水の通るパイプに接合させる)で、海水でも何でも水だったら構わないから注入させる。(この時点で炉心溶融は始まっている)
かなり、ギリギリのシュミレーションですが、ベント弁開放によって、原発付近の自治体では、ある程度空気中の放射性物質は増加するでしょうが、これはそれらの作業をしている間に「緊急避難命令」を各自治体に発令して、県外に避難してもらうことで被害は避けられたでしょう。
ベント弁の手動開放には現地の作業員もかなり手間取っていますが(一晩かかっても出来なかった)、最悪レーザーで格納容器・圧力容器のヘッドに穴を開けてしまうということで(無論レーザー照射機を建屋内に設置したら作業員は逃げる)、水素爆発という事態は避けられた可能性があります。若い頃、原発反対運動をやっていた割には原発の怖さをあまり理解していなかったような菅総理の対応だったとおいらには思われます(−−)

・2回あった水素漏れ
次のグラフは1号機の津波後の炉内圧力を計算したグラフです。出典は東電。NHK教育サイエンスゼロで放映されたものを携帯カメラで撮りました。

先ほどの表の日本原子力研究機構・平野センター長の話によると、「原発の圧力容器は4.3気圧までしか耐えられない設計」である訳ですが、グラフでは8.4気圧まで急上昇しているのが分かります。 このとき急に7.4気圧にまで下がって、しばらく安定します。何故下がったのか?圧力容器のヘッド部分が圧力と熱に耐え切れずに、隙間が開き、水素ガスを放出したからです。

核燃料を納めている圧力容器の頭の部分は使用済み核燃料を取り出したり、燃料の交換をするためにボルトで止める構造になっており、そのシーリング材として「シリコン・ゴム」が使われています。そう、女性が巨乳にしたりするときに形成外科で胸に入れてもらう柔らかいプラスチックの一種です。
最も、プラスチックやゴムなど気体や液体の”漏れ止め”として使われている素材の中では「潟GスケーのHPより・耐熱・耐寒:耐熱性に優れています。 耐寒性に優れています。 シリコーンゴムは有機系ゴムと比べ150℃の熱を加えてもほとんど特性に変化がありません。(半永久的)シリコーンは200℃の熱でさえ連続10,000時間以上の使用に耐えられます。 (短時間の場合250℃の使用も可能)→成型品例:鍋敷 一般有機系ゴムの脆化点は、−20℃〜−30℃です。シリコーンゴムは−60℃〜70℃まで弾力性を保ちます。→成型品例:製氷皿・各種ガスケット パッキング など
撥水・離型:撥水性に優れています。 離型性に優れています。シリコーンゴムは長時間水に浸しておいても吸収率は1%程度です。そのため電気特性等にほとんど影響しません。 シリコーングリース・オイルにはこの特性も生かされてます。 →シリコーングリース シリコーンゴムは離型性にも優れているため他の物質を腐食しません。 この性質を生かしてシリコーンは印刷のロール,シートそしてロストワックスなどに使用されます。 複雑な型取りにも強い味方です。
電気絶縁・消泡・整泡:電気絶縁性に優れています。 消泡・整泡性に優れています。 シリコーンゴムは電気絶縁性にすぐれ(1〜100TΩ・m{1014〜1016Ω・m})、広い温度範囲及び周波数領域にわたって安定しており絶縁材料として最適です。 電気絶縁性を有効利用した製品 →融雪マット シリコーンは不必要な泡を消したり整えたり出来ます。シリコーンの性質(シリカ)によって消泡剤が泡の表面に薄く広がり消泡、整泡効果を得ることが出来ます。 →シリコンフォーム
化学的安定: 無味無臭・無色透明 化学的にも安定しています。 無味無臭・鮮やかな色 シリコーンゴムは他の物質に侵されることなく化学的にも安定してるので人体に対しても悪い影響を与える心配がありません。(生理的安定) 成型品例:シリコンクッキング用カップなど シリコーンゴムは無味無臭でシリコーン本来の透明性を損なうことのない繊細なシリカを配合し、透明に優れたゴムにすることが可能です。(高透明シリコーンゴム※) シリコーンは医療用・食品用などのチューブや各種成形品にも応用されてます。」

と弾力性のある物質では他に選びようがないくらい特性が優れているものではあります。
ただ、この”水素爆発前にヘッド部分から炉内のガスが漏れてしまう現象”については割りと古くから知られている現象でした。
さて、上のグラフに戻りましょう。ヘッドから漏れた水素ガス(無論、放射性物質が混じっている)は当然に外側の格納容器の圧力も高くします。この格納容器は完全な気密性があるのか?というと、やはりセンサー類を取り付けるための穴が開いています。

こんな感じです。1号機・3号機では津波のあった3月11日午後14時27分から冷却水の供給が途絶え、どんどん炉内の温度が上昇し、エネルギー総合研究所・ 内藤氏のシュミレーションでは午後5時、国のシュミレーションでも午後6時には、冷却水が無くなり”空焚き”状態になっていたのですから、圧力容器→格納容器と 段々温度は上がります。200℃で1万時間は耐えられ、瞬間的には250℃にも耐えられるシリコン・ゴムですが、そんな温度ではなく、”空焚き”から僅か3分後には2900℃に炉心が達していたのですから、 センサー類をはめ込んだ穴をシーリングしているシリコンゴムも当然に溶けてしまい、センサー自体も溶けてしまったのです。
すると、当然にそこから圧力容器→格納容器→建屋という順番で放射性物質を含んだ水素ガスが漏れ出し、しばらくは鉄筋コンクリートの強度で7気圧台に耐えていましたが、1号機は翌日12日の午後3時36分、建屋が水素の圧力に耐え切れず破壊(化学反応して爆発したというより、圧力に耐えかねたという感じ)白い煙(恐らく水蒸気+水素+放射性物質)が上がりました。
3号機も14日11時01分爆発。こちらは灰色の煙と炎も確認されました。色がついているということは、1号機よりも放射性物質が多く混じっていることを意味します。

・今、収束に向けて問題になっている”デーモン・コア”をどうやって片付けるか?
当然、圧力容器→格納容器と穴が開いたのですから、溶け落ちた核燃料は上手くいっても格納容器内、下手をすると建屋内にポタポタとウンコ状に溶け落ちて、存在するはずです。この中には色々な放射性物質(元はウラン238と235だったが核分裂しているので、色々な放射性物質に変わっている) が混じり合っている状態にあります。当然にあの長崎原爆で使われたプルトニウム239もウラン238が中性子を捕まえてできる物質ですから、混じっています。
”デーモン・コア”とは未臨界量のプルトニウムのことで、単独では臨界に達していない量なので、プルトニウムとして次々に核分裂をする状態ではないですが、それでも多量の放射線を出す物質です。
広島や長崎の原爆を研究していた米国ロス・アラモス研究所で起こった事件(米では事象と言っているが)などから”デーモンコア(悪魔の塊)”と呼ばれるようになりました。
「1945年8月21日、ロスアラモス研究所で働いていた物理学者のハリー・ダリアンは、後にデーモン・コアと呼ばれるプルトニウムの塊を用いて中性子反射体の働きを見る実験を行っていた。プルトニウムの塊の周囲に中性子反射体である炭化タングステンのブロックを積み重ねることで徐々に臨界に近づける、と言う要旨の実験であった。ブロックをコアに近づけ過ぎると即座に臨界が始まり、大量の中性子線が放たれるため危険である。しかしダリアンは手が滑り、ブロックを誤ってプルトニウムの塊の上に落下させてしまった。プルトニウムの塊は即座に臨界に達し、そこから放たれた中性子線はダリアンを直撃した。ダリアンはあわててブロックをプルトニウムの塊の上からどかせたものの、彼はすでに致死量の放射線(5.1シーベルト)を浴びていた。ダリアンは25日後に急性放射線障害のために死亡した。」
「1946年5月21日、カナダ出身の物理学者ルイス・スローティンと同僚らはロスアラモス研究所にて、臨界前の核分裂性物質に中性子反射体をどの程度近づければ臨界に達するか、の正確な位置を調べる実験を行っていた。今回使われた中性子反射体はベリリウム、臨界前の核分裂性物質として使われたのは昨年ダリアンの命を奪ったデーモン・コアである。スローティンらは球体状にしたベリリウムを分割して二つの半球状にしたものを用意し、その中央にデーモン・コアを組み込んだ。そして、ベリリウムの半球の上半分と下半分との間にマイナスドライバーを挟み込み、手に持ったマイナスドライバーをぐらぐらさせて上半分の半球をコアに近づけたり離したりしながらシンチレーション検出器で相対的な比放射能を測る、と言う実験を行った。挟みこんだドライバーが外れて二つの半球を完全にくっつけてしまうと、 デーモン・コアは即座に臨界に達し、大量の中性子線が放たれるため危険である。この実験はたった一つの小さなミスも許されない危険性から、ロスアラモスの人望高い 研究者リチャード・ファインマンが「ドラゴンの尻尾を撫でるようなものだ」("tickling the dragon's tail")と批判し、他のほとんどの研究者も参加を拒否した悪名 高い実験であったが、功名心の強い若き科学者であったスローティンは皆の先頭に立って何度かこの手の実験に参加しており、ロスアラモスのノーベル賞物理学者 エンリコ・フェルミも「そんな調子では年内に死ぬぞ」と忠告していたと言われる。そしてついにこの日、スローティンの手が滑り、挟みこんだドライバーが外れ て二つの半球が完全にくっついてしまった。即座にデーモン・コアから青い光が放たれ、スローティンの体を熱波が貫いた。コアが臨界に達し、大量の中性子線が 放出されたことに気づいたスローティンはあわてて半球の上半分を叩きのけ、連鎖反応をストップさせ他の研究者たちの命を守ろうとした。彼は文字通り皆の先頭に立って 実験を行っていたため、他の研究者たちへの放射線をさえぎる形で大量の放射線をもろに浴びてしまった。彼はわずか1秒の間に致死量(21シーベルト)の中性子線とガンマ線 を浴び、放射線障害のために9日後に死亡した。スローティンの間近にいた同僚のアルバン・グレイブスも中性子線の直撃を受けたが、彼はスローティンの肩越しにデーモン・コア を見ていたため、中性子線がいくらかスローティンの体によってさえぎられ、数週間の入院の後に無事退院できた。とはいえその吸収線量は少なくなく、 *慢性の神経障害と視覚障害の後遺症が残り、放射線障害に生涯苦しみぬいた末に20年後に心臓発作で死亡した。」
*放射線障害はガンや白血病だけではなく細胞が死ぬのだからどんな障害が後で出るか分からない
はっきり言ってしまえば、あまりにも放射性物質を舐めてかかりすぎた馬鹿な研究者の起こしたお馬鹿な事故とも言えますが、プルトニウム239がほんのちょっとしたことで臨界を超えてしまって膨大な放射線を出す危険極まりない物質であることの戒めとして ”デーモン・コア(悪魔の塊)”と呼ばれたとも云えます。

で、この事件が福島原発と何の関わりがあるかというと、先ほどの下にウンコ状に垂れて(多分、現在は冷えて固まっていると思うが)しまった放射性物質の混じり合った塊の処理についてなのです。このファイルの始めから言っているようにウラン238は割りと単体では多くの放射線は出しません。その他の放射性物質も半減期が数秒のものもあります。問題なのは色々な放射性物質が混じり合った塊のどこにどのくらいこの危険なプルトニウム239が混じっているかまったく分からないことなのです!
ロボットを使うにせよ、下に落ちた塊を幾つかに切り分けて、外部に出さなければなりません(現在、ホンダがアシモを原発作業用に改造しているそうですが)。その際に、
@ロボットのアームも当然金属で出来ているのですから、中性子の反射材になってしまう危険性があり、カッターで塊を分割したとたん臨界事故を起こす危険性がある。
A運び出す際に、切り分けた塊を2個以上ロボットに持たせると臨界事故を起こす危険性もある。
B当然に、切り出した塊は小さなカケラにして1つずつその場で鉄筋コンクリート製の鉛板を張った容器に入れて、蓋をしてから、建屋の外に運び出し、敷地内の地中深くに、即埋めてしまえる体勢を作らねばならないこと。
C作業をしたロボット自体が放射線の内のガンマ線・エックス線などの強力な電磁波で壊れたり誤動作する危険もあること。
D作業をしたロボットに放射性物質が付着して、1回ごとに使い捨て状態になる可能性も高い。

勿論、この作業をする場合は中性子線が、かっとんで来るので中性子の空気中での飛散距離である220m+αには人間は近寄れません。全てリモートでやる必要があります。
と、このような大きな問題点があるのです。で、こうしている間にも福島では作業員という名の人間が、日本国民を守るために死ぬ覚悟(公式ではないが既に何人か亡くなっている)で作業しているわけです。おいらは”自己犠牲を省みない”この人たちに天皇は勲章を与えるべきだ!と文化勲章の受章者を見て憤懣やるかたない思いです(#−−)
原発事故直後、「はて?日本はロボット大国だったのではないのか?何故米国製ロボットや韓国製ロボットを使うんだ?」と疑問に思う声がツイッターなどで寄せられましたが、大変に馬鹿げたことに、日本の経済産業省と文部科学省では「日本の原発は安全だから事故は無い!よって原発事故を想定した作業ロボットを開発した研究所は助成金を打ち切る!」と脅していたということが、あるロボット工学者の告白によって分かりました。
「え?これって、太平洋戦争前に陸海軍の参謀が集まって『日米戦争のシュミレーション』をやったときに”日本敗戦”という結果が出て、大本営から「日本は神国なので負けるはずが無い!諸君この結果は忘れるように!」と厳命した」という話と同じではないのか!!日本の役人の頭はこの80年間進歩していないのか!!とあきれ果てました!経済産業省と文部科学省(最近特に日教組に洗脳されているようだが)の本省の役人は福島の現場で作業員として出向して来い!!(#−−)と思いました。

・見苦しいまでの情報隠蔽!既に3月30日号で原発北東部が高い線量だと発表していたNature誌
3月12日・14日の1号機・3号機水素爆発の後も、民主党政府はあくまで「20Km圏、30Km圏」という風向や地形などをまったく考慮に入れていない「警戒区域」や「避難準備区域」などの指定をしていました。この設定は文部科学省原子力安全委員会が「適当に、えいや!という感じで決めた」との報道もありました。
ところが、英Nature誌電子版では3月30日号で、「福島原発北西側に放射性物質が広がっている」という記事が出ました。おいらはその間yahooの嫌がらせ(だと思う。同じ地域の他のyahoo契約者はネットが繋がっていたのだから。)によって、3・11当日から震災を口実に幾ら苦情の電話を入れても「NTTが悪い」とか「NTTに問い合わせても一般人には教えない」とかいい加減な対応に腹が立ってイライラしていました。結局、「教えてくれない」どころかNTTに電話をしたらおいらの局番を管轄している局のメカニックが出てくれて「yahooさんのADSL回線の箱はNTTの職員は手を触れてもいけないという契約になっている」→つまりyahoo側でわざと修復工事をやらないか、もしくはyahooの元でADSL回線を切断した。ということが判明。急遽、OCNに申し込み→yahoo解約→OCN回線工事を急いでもらって4月7日に復旧。至急NATURE誌電子版にアクセスして、「20Km圏とかいう区分はデタラメだ」と知ったのです。

大雑把な線で描かれていますが、明らかに北西側、飯館村方向がかなり線量が高いことが分かります。この記事を4月8日にトップページに緊急アップしたところ、突然に政府の報道発表が下のように変わりました。

4月25日付けの産経新聞の図です。おいらのHPは官公庁・大企業などから多くのアクセスがあるので、保安院か原子力安全委員会か民主党の誰かが見たのでしょう! それまでNHKなども「飯館村は南部がやや30Km圏にかかるかどうかというところで、大きな心配は要りません。冷静に行動してください」などとテレビで放送していたのですから、いかに記者が裏取り取材=政府発表の根拠となるデーターを別の関係者から取材してくるということをやっていないかが分かります。多分、おいらがHPに載せなかったら、今でも「飯館村は安心だ」とデタラメを言っていたのでしょう!(#−−)
この政府の致命的な遅れについてWall Street Journalは4月10日の紙面でこのように批判しています。
「菅首相の官僚外しと原発危機対策 2011年 4月 10日 14:02 JST WSJ
 【東京】菅直人首相は、震災で停止した福島第1原子力発電所の危機対応のため、旧来の官僚主体の指揮系統を排除し、独自にアドバイザーを招請して 特別対策チームを設置した。このことは、キャリア官僚の怒りを買うとともに危機管理を誤ったとの首相への非難が強まっている。
災害基本法に基づいて設置された災害対策本部があるにもかかわらず、菅首相は、同原発の事業者である東京電力(東電)への対応に新たな緊急対策機関を併設したのだ。  3月11日の地震と津波以降にとった一連の措置を通じ、菅首相は、過去数十年にわたってキャリア官僚が政策策定を主導してきた日本で、国を統治する新たな方法を事実上試運転しているといえよう。  だが首相が現地視察に向かったことが過熱した原子炉の爆発を食い止める初動の遅れを招いたと指摘されている点を含め、自ら陣頭指揮しようとする首相の決意が危機を一層悪化させたとの批判が起きている。  菅首相が、おおかた反故(ほご)にしてしまった原発緊急時計画の策定にかつて一官僚としてかかわった与党民主党の福島伸享衆議院議員は、「マニュアルがあるにもかかわらず、マニュアル通りに動かず、アドホック的に自分たちで命令系統を作り時間を浪費している。実際にマニュアル通りに対応して事態がもっと軽症で終わっていたかどうかは分からないけれど、少なくとも対応が遅れた」と語る。  福島氏は、「今や経済産業大臣も東電の本社に行っている。言ってみれば、消防庁長官が火事の現場にいっているようなもの」と語る。大将は本丸にいるべきで、現地に判断をさせる部分、大臣が判断する部分、総理大臣が判断する部分はマニュアルであらかじめ分けてあったのだが、「どこで誰が判断するかということが一番混乱している」と指揮系統の混乱を指摘した。  東電と政府は、震災と事故への初期対応について批判にさらされている。菅首相はそうしたつまずきを、自ら陣頭指揮に当たることを正当化する理由にしてきた。首相周辺によれば、断固たる措置をとる以外、首相に選択肢はなかったという。  菅首相の側近トップである枝野幸男内閣官房長官は取材に対し「今回の災害対策では、通常の行政システム、時間の掛け方では対応できなかった」とし、政治が従来の手順や段取りにこだわらず判断することで一定の効果があったと弁明している。  とりわけ、3月19〜20日の週末に東京都の消防隊員を原発の現場に派遣し、使用済み核燃料棒を貯蔵してあるプールを冷却するため何千トンもの水の放水にあたらせる手を打ったことは、菅首相の功績だという。  首相の危機管理へ直接手を下すやり方は、部内者をも驚かせてきた。地震発生当日から、菅首相は被災した原発に強い関心を示し、非常用発電機を原発ま で空輸できるかどうか尋ねたこともあったという。側近の一人、下村健一氏によると、首相は自ら携帯電話をかけて、発電機のサイズと重量を問い合わせたとい う。  民主党は、政治主導を唱えて選挙戦を繰り広げ、2009年に政権をとった。国家的危機のさなか、官僚主導を排除しようとする菅首相の決意は、官僚主導の日本においては明確に政治的色合いを帯びている。  政治的な非難の応酬に距離を置く人々の中にも、菅首相の政治主導の原則を評価する一方で、その原則を実行に移す際にあまりにも多くのことを自分でやろうとしたことで、つまずいた、との見方がある。  日本大学の政治学者、岩井奉信氏は、「民主党は危機管理のノウハウが弱い」、「素人だったことがマイナスになっている」 と語る。

 菅氏は、1980年に政界入りし、長く野党に身を置いた。96年には厚相として、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)に汚染された血液製剤の流通に 関わる隠ぺい工作を暴き、官僚と企業幹部に責任をとらせた。菅氏には、福島原発事故もまた、大企業と官僚の癒着を物語るものと映った。  99年に制定された原子力災害対策特別措置法は、首相を本部長とする原子力災害対策本部の設置を定めている。菅首相は、この法律に従って同本部を設 置した。しかし、側近トップの枝野官房長官によると、首相はその後、情報が幾層もの官僚機構をくぐって上がってくるのをただひたすら待たなければならな かったという。  日本共産党が発表した会談筆記録によると、菅首相は先週、共産党の志位和夫委員長に対し、「『原子力村』というか、ある種、専門家のギルド的な雰囲気がある」と語っている。  地震後数日以内に、菅首相は独自の計画を練り上げていた。3月15日午前5時30分に東電本店に乗り込んだ首相は、東電本社内に統合対策本部を設置 することを経営陣に伝えた。この新しい対策本部には、菅首相の補佐官らを配置することとし、東電から直に情報を取って、その場で命令を出せるようにした。  こうした臨機応変の措置は、各国が「責任の明確な割当」を伴う「指揮統制体制」を事前に設けるよう定めている国際原子力機関(IAEA)のガイドラインに反しているとみられる。  首相サイドは東京都の消防隊の派遣を、新体制が機能している例として挙げているが、それ以前の、過熱する使用済み燃料プールの冷却を試みて失敗した機動隊高圧放水車の一件を批判する向きもある。  元警察官僚で自民党衆議院議員の平沢勝栄氏が首相官邸や一部民主党議員から聞いた話では、官邸はまず、機動隊放水車を派遣するよう命じたという。平沢氏は、そこは当然官邸に責任があるとし、放水を専門にしているのが消防であることは子どもでも分かると述べている。
 四方敬之内閣副広報官は、まず消防を呼ぶべきだったと思った人もいるかもしれないが、内閣府はその時点時点で最善と思われる措置をとってきたと述べている。  放射線データ公表の遅れの責任が誰にあるのかについても、双方の言い分は食い違っている。政府の原子力安全委員会はようやく23日になって、福島第 1原発周辺20キロ圏内の避難地域の外でも放射線濃度が高いおそれがあると公表した。(おいら注:先ほどの地図のように自治体別に色分けしたものではなく、20Km圏の外側に30Km圏を付け加えた地図)このデータ発表を受け、政府は原発から30キロ圏内の住民に避難支援を提供することにした。  首相側近によると、首相は22日の会合に原子力安全委員長ともう一人の委員を呼び出し、官僚の縄張り争いについて不満を表明することで、データ公表に直接介入したという。  前出の福島議員は、皆が手順に従っていたなら、こうした情報は「即時公表」されていたはずという。一方、原子力安全委員会の広報官によると、データ公表の遅れは、重要データの不足と委員らの多忙な日程によるものだったと説明した。  震災翌日12日午前7時ごろの菅首相の福島第1原発視察をめぐっても議論がある。菅首相は、床の上に毛布にくるまって眠っている作業員の脇を通 り抜けて、小会議室で原発施設の幹部2人と20分間にわたって会談した。ある側近によると、首相は技術的質問をし、過熱する原子炉を冷却する方法について アドバイスしたという。  問題は、この視察のせいで1号機のベント開始が遅れたかどうかだ。原子力安全・保安院が発表した時系列記録によると、11日午後10時の時点には、 保安院当局者は、翌日早朝には1号機原子炉内部で炉心が溶け始めると予想し、圧力を下げるための緊急ベント開始を要求していた。だがベントが始まったの は、菅首相が現場をあとにした数時間後だった。  菅首相は、視察のせいでベント開始が遅れたことを否定した。政府当局者は、遅れの原因が、電源喪失後に手動で弁を開くことの難しさと連絡上の問題にあったとしている。  官僚の不満が募るなか、菅氏の長年のアドバイザーだった北海道大学の政治学者、山口二郎氏は先週、首相官邸に緊急面会を申し入れ、官邸で40分間会談した。山口氏と同僚の北大教授は菅首相に、官僚の活用を強く促したという。  山口氏は首相に、「責任追及をしている時ではないといった」という。同氏によると、菅首相は、一部始終を伝えてくれないから官僚は信用できないと改めて不満を漏らし、会談は不本意な結果に終わったという。  しかし、首相側近はこの助言を受け入れる兆しをみせており、民主党が政権に就いて以後廃止した事務方トップの会合を復活させた。この会合は目下、震災救援・復興に関する政策の調整に当たっている。」

原文: Kan Cuts Out Bureaucrats
記者: Yuka Hayashi and Norihiko Shirouzu ?


これでも、なお小沢支持を通じて民主党を支援し続ける関東・東北のみなさん。あなたの子孫が滅びることになっても、後悔はしませんか!(”−−)

・そして建屋の水素爆発!かくして膨大な量の放射性物質が世界に飛び散った!
さて、福島第一原発1号機、3号機の爆発以後、周囲に飛散した放射性物質の微粉末は雲のようなプルームを形成し、風に乗って、時には雨に混じって日本全国〜世界中に飛散しました。
最初に福島県以外で検出されたのは古くからの”原発県”茨城県が設置した放射線量計でした。3月15日午前1時頃より初めて北部から徐々に南下する0.1〜0.5μSv/h級の放射線量の有意な上昇を観測。その後日を追うごとに関東〜静岡にかけて農産物の汚染という形で検出され、おいらもTwitterを通じて「不安に感じたら、行政の計測は全品は無理なので自分で放射線量計を買うしかない!」と呼びかけ、 普段は専門家しか買わない放射線量計が飛ぶように売れたことは記憶に新しいことです。

余談ですが、放射線量計と言っても、2種類あります。中性子線・アルファ線・ベータ線などは粒子がかっとんで来る”粒子線”なので、ガイガーカウンターでないと計れません(あのマイクみたいなところに飛び込んでくる粒子を数えている)。エックス線、ガンマ線は電磁波なので電磁波用の放射線量計(よく一般の人が購入したタイプ)で計れます。また、10万円以下の安物の放射線量計は中国製が多くデタラメな数値が出るものが多い(業務用に使っているものは1μSVがきちんと出ている放射性物質を計って数値の調整後に出荷している)ので注意が必要です。
なお、土壌、食品などを計るには特殊な放射線量計が必要ですが、千葉県柏市にある「ベクミル」ではこれらの線量計を自分で計れるスペースを提供しています。入会金500円+機器のレンタル代20分に付き数百円と手ごろな価格設定なので、予約が殺到しているそうです。詳しくは「ベクミル」http://bq-center.com/bqmil/をご覧ください。

さて、話を戻しますが、爆発当初政府は国民が分かりやすいように、各地の放射線量を地図に書き込んだものを発表していませんでした。政府と自治体が計測した数値を一覧表で公表するという形で、まるで「見たい奴は勝手に見ろ」と云わんばかりのやり方です!元々、原発を推進してきたのは政府(旧通産省)・第一義的責任は政府にある。というのに他人事のような対応でした。エイズ問題、BSE問題、フィブリノゲン問題、口蹄疫問題。。全て政府、霞ヶ関は当事者なのだという意識が希薄過ぎました。これが戦前の陸・海軍省から続いている日本の官僚の伝統『国民と官僚とは階級が違う』という意識なのでしょう!全て公務員は国民の公僕(召使)であるという日本国憲法一つ覚えられない馬鹿の集団=官僚というものなのでしょう!(#−−)その辺りは茨城の中卒辺りと大差ないレベルの頭です!
で、これに業を煮やしたのが、群馬大学の早川教授でした。元々火山学者で火山灰の飛び散るシュミレーションの研究をしていた同教授は「福島原発を火山と例えれば、火山灰の飛散するモデルが使えるのではないか?」と考え、同大学の学生達に手伝ってもらって、汚染地図を作りました。

また、オーストリア気象学地球力学中央研究所でもNature誌を通じて、汚染が海上にまで達していることをシュミレーションした図を発表しています。

これに対して、日本政府(文部科学省原子力安全技術センター)が地図上に分かりやすく塗り分けした汚染マップを発表したのは、一応コンピューター上のシュミレーションではなく飛行機を使って実際に計測したものとはいえ、福島原発周辺が5月6日になってから(米エネルギー省との共同)、 岐阜県までの最新のものが11月11日という対応の遅さです。一応、このファイルを作っている時点で最新のセシウム137の沈着量のマップを転載します。

但し、同じ高度で計測する必要があったため2000m以上の山岳は計測していない。
今までこのファイルを見た方は、国家公務員というのは基本線は戦前の”大本営”と変わらない体質なんだということに気が付いたと思います。 それが、官公労組を支持母体とする民主政権と結びつくことで、彼らの”国民不在の大日本帝国憲法体質”を加速させたのだということを忘れてはなりません! もう、このような不幸を起こさないためにも官公労や在日コリアンに支持されている政党に政権を取らせてはいけません!!また、報道ではセシウム137、134・ヨウ素133ばかり取り上げていますが、マスコミ人というのは基本、馬鹿です!政府の発表を”鵜呑みに”しますが、前章で一覧にした全ての放射性物質が飛び散っているものと思ってください。「半減期=半分になる確率」で絶対的な年数ではないこと。放射性物質はアバウトに分裂するので、計測した日は線量が低くても、別な日には猛烈に分裂して線量が高いということもありうること。これらを忘れないで下さい!(#−−)

★こんなものが「安全な訳が無い!」高額の補助金が証明する経済産業省のデタラメ★

★”金のためなら県民は死んでも良い!”誘致してきた自治体の本音★